経営者の発言から考える〜永守氏〜
経営者は景況が少し悪くなってもすぐよくなると思いたいものだ。
経営者が陥りやすいバイアスをよく理解していると思う。経営者も人間だ。人のインセンティブも色々だ。投資家として経営者の発言を吟味していく上では心に留めておくべき事項だ。
「政治家は理想を追って理想に向かおうとするが、必ずしもいい結果をもたらさない。今は政治リスクが1000倍くらい上がっていると感じる。だから経営者はリスクを分散しないといけない。これがトップメーカーの使命だ。将来のことは完全に見通せないが、『こうなればこうする』と選択肢をいくつも持っていなければならない」
先のことは完全には分からないというのが彼の思考の出発点になっているように見える。経営者としては多くの選択肢を持っていることが重要、というのは傾聴に値する、と考える。投資家として、先のことは分からない中で何が起きても環境の変化に耐え優れたリターンを上げることのできる勝ち目のあるポートフォリオを準備しておく、ことが重要だ。
「10年間苦しんだのが後継問題だった。カリスマがいればそれが一番いい。でもいないのだ。どれだけ探してもいなかったのだから。結局。創業者は後見人として長生きし、3、4人くらい社長が代わるのをみて路線を定着させるのが一つの形かもしれない」
どれだけ探してもいなかった、とハッキリ言えるのは、とても率直な経営者だ。
平均的な経営者であっても平均以上の利益成長が可能な立ち位置、ビジネスモデルの会社を探すことが重要だ。良い経営者であれば望ましいが、カリスマはそう多くなく、何が起こるかは分からないのだから。