投資家として考える〜その1〜
どう市場に対峙するか?
株式市場は情報を織り込む素晴らしい仕組みを持っている。投資家の心配や期待は株価に確りと織り込まれていることがほとんどだ。市場は完璧ではないがそこまで愚かではない、という謙虚な姿勢で市場と向き合いたい。
どんな会社に投資するか?
- 継続的にキャッシュフロー(CF)を生み出せる優位なビジネスモデル
- シンプルなビジネスモデル。複雑だと判断するのが難しい
- 10年後にも存続していそうなビジネスモデル
- 10年後に今より価値が高い可能性があるビジネスモデル
- 会社自身でコントロール可能な要素が多いビジネスモデル
- 経営陣の質。率直で誇張がないか。実行可能なこと以外は公約しない誠実さがあるか。株主利益にも注意を払っているかどうか。
- バランスシートのリスクが大きくない会社
これは人によってスタイルが分かれもするし、賛同者も多い部分であろう。これらの基準の正しさに関しては既に広く知られているため、これらに依拠して投資するだけでは平均的な投資家よりも優れたリターンを継続的にあげていくのは難しい。重要なのはいい会社を見つけることでなく、割安な会社を見つけることだ。何を買うかは勿論大事だが、いくらで買うかも同じくらい重要だ。
なぜいくらで買うかが重要か?
株式市場での取引価格(株価)が会社の本源的価値(Intrinsic Vslue)にピッタリ一致していることは稀だ。株価は本源的価値の周りをふれる振り子のようなものだ。
筆者は、最終的には(市場参加者の売買の結果として)株価は本源的価値に収斂していくものであると考えている。これは冒頭で株式市場は情報を織り込む素晴らしい仕組みを持っているといったことと同義だ。
本源的価値よりも十分に安い価格で買えば大きく儲けられる可能性が上がる(逆に本源的価値よりも十分に高い価格で買えば大きく損をする可能性が上がる)ということだ。
株式投資とは会社の本源的価値と株価の裁定取引(ギャップの解消)に主体的に参加する行為である、と筆者は理解している。
結局、何が重要か?
会社の本源的価値がどの水準にあるか?どのように変化していく可能性があるのかについて自分なりの見方(View)をすることがまず必要だ。
自分が見出した本源的価値と株価とのギャップが大きいほど、大きく儲けられる可能性があるユニークなViewと言えるだろう。だが、ここで思い出すべきは、市場はそこまで愚かでないということだ。そんなに美味しいアイデアであれば他のヒトがその見方に基づいて売買することでギャップは既に解消されている筈だ、それが解消されていないのは何故なのかを真摯に考えるべきだ。
ユニークなViewであってもそれが実現しなければ、その本源的価値は絵に描いた餅で終わってしまう。ユニークなViewは概して実現可能性が低いと思われているものであり、実際実現しないことも多いのだ。ユニークなViewを発見することは難しい。
寧ろ、ユニークなViewを主体的に創り出しにいく、という気概と知恵と勇気があって、それを一貫してできるかどうかが勝負の分かれ目だ。